(くに)家の帝さんと、借金の担保(たんぽ)として黒街(くろまち)にいる私が心を落とし合うなんて…帝さんの周りの人には いやがられそうなものだけど。

 首をかしげながら廉さんのふしぎな思考について考えていると、晴琉(はる)くんが私を見て くすりと笑っていることに気づいた。




「晴琉くん…?」


冬木(ふゆき)さん、その支配人は、もうカジノに?」


「あぁ。今は支配人ルームにいるだろうから、ちょっとあいさつでもしてきな?ゆいちゃん」


「んぇ、私ですか」


「あはは、こまめなあいさつは いい関係を地道にきずくための第一歩だよ」




 晴琉くんにもあと押しされて、たしかに、と考える。

 一撃(いちげき)で帝さんを落とせるようなスゴテクなんて持ってないんだし、私は地道にアタックするのがいいのかもしれない。