今も晴琉くん以外の人からは一定の距離を置かれているスタッフルームのなかで、感心して晴琉くんを見つめていると、聞き覚えのある声が入ってきた。
「帝サマにそのふつうは当てはまらねぇなぁ。おべっかは聞きあきたって顔だし、趣味もねぇし」
「廉さん!」
「おはようございます、冬木さん」
振り返ると、今日も気だるげな廉さんがへらりと笑って近づいてくる。
「お~。今日も仕事でだるいな」なんてあいさつのように言っているけど、廉さんは仕事をきっちりやる人だ。
そして、帝さんと仲がいいから、帝さんとおなじように おそれられている人でもある。
セキュリティ担当だから、監視カメラでのぞかれている側にとっては ちょっときんちょう感がある相手、という理由もあるんだけど。
「帝サマを落とすなら、やっぱ変わったことをして意表をつくのがいいんじゃないか?」



