「――それで、この手首につけてるチェッカーが脈拍と体温を感知しているらしく」


「へぇ。恋に落ちたことは、身体的な変化で判定するんだ」


「はい。2つのチェッカーが半径1.5m以内にあるときの脈拍と体温の上昇(じょうしょう)が、3回、規定値(きていち)以上で認められたら、音が鳴って勝敗がわかるそうです」




 黒街(くろまち)から出て(はく)ツキくんのライブに行くため、ブラックジャックで勝負させてもらい、敗北した翌日。

 更衣室(こういしつ)でディーラーの制服に着替えたあと、スタッフルームで髪を結んでいたら、晴琉(はる)くんに手首の違和感(いわかん)に気づかれて、昨日のことを説明した。

 時計のように手首にフィットしているこの機械がなければ、私は今でも(みかど)さんと交わした会話が信じられなかったかもしれない。




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『勝者は敗者になんでもひとつ言うことを聞かせられる。期間は自由に設定できるが…今回は、11月8日までだ』