Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 すぐに売り切れちゃうっていう うわさのチケットは買えたのに、黒街(くろまち)から出れない…。

 ライブを観に行けないなんて。

 うつむいたまま歩いて、いくつかの扉を通りすぎたあと、私はすがるように顔を上げて、帝さんのスーツのすそをつかんだ。




「…」




 振り向いた帝さんが、いつもどおりの冷たい瞳を私に向ける。




「…どうしても、だめですか。1日――」


「――負けただろ」




 1日2日でもいいんです、とお願いしたかったのに、()だるげな声で一蹴(いっしゅう)されて、つん、と鼻の奥が痛くなった。