Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「結花」


「あ、はい!」




 ぱっちりと開かれたところを見たことがない切れ長の瞳に、スッと筋が通った鼻、一生口角が上がることのなさそうな薄い唇。

 恐ろしいほどの美貌(びぼう)の細部にまで気だるさをにじませた帝さんに呼ばれて、たたっと逃げこむと、肩を()かれた。




「うちの従業員に、なにか?」


「え…す、すみませんでしたっ!!」




 チャラそうな男性は一瞬で()(さお)な顔になって、くずれ落ちるように土下座する。

「すみません、すみません」と何度もアスファルトに頭をぶつけるようすは、見ていてちょっとこわい。




「始末しておけ」


「かしこまりました」