受付で入場料を払い、こちらへ向かってくるお客さまに笑顔を向けて、道をあける。
玄関ホールのすみに向かい、[STAFF ONLY]と書かれた扉の内側に入ってしばらく歩くと、従業員用通路の先のほうで扉が開いた。
あそこはセキュリティールーム…と、ぼんやりながめていると、そこから廉さんと帝さんが出てきて、「あ」と思わず声がもれる。
その声に気づいたのか、2人がこちらを見た。
「おー、ゆいちゃん。おつかれ」
「おつかれさまです」
片手を上げて、ひら、と軽く振る廉さんと、無言の帝さんに会釈して、すすす、と2人に近づく。
会話するのにこまらない距離まで来ると、おずおずと2人を見上げて「あのぉ」と話しかけた。



