Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「帝さまに送ってもらえるとか、結花(ゆいか)ってほんと何者?」


(あかね)!」




 乾いた笑みを浮かべながら声をかけてきた友だちに、「おはよ」とあいさつする。

 上履(うわば)きを取り出して、一緒にくつを履き替えながら、オレンジ色の猫目を見た。




「ただ通り道だっただけじゃないかな。それより聞いてよ、ライブの件、やっと帝さんと話せたのに外出許可がもらえなくて…」


「そりゃ、ここは黒街(くろまち)なんだからとうぜんでしょ。外に出たいなら借金を返すか、カジノで勝負に勝たないと」


「わかってるけどぉ…」




 はぁ、とため息をついて、茜と廊下(ろうか)を歩く。

 黒街に連れてこられた原因を解消する以外で、唯一(ゆいいつ)黒街から出ていける例外。

 でも、黒街の外を()けてGold(ゴールド) Night(ナイト)で勝負し、1回きりのゲームに負けたら、3年間は黒街から出ることを許されない。