帝さんの顔色をうかがって、けっきょく口を閉ざして大人しくしているうちに、学校が見えてきた。
ひざの上に置いたスクールバッグを持ちなおすと、帝さんがぽつりと声を発する。
「気まぐれだ」
「え?」
気まぐれって、なにが?
きょとんと首をかしげてしばらく考え、もしかしてさっきの質問の答え?と気づくと、顔がゆるんだ。
聞いちゃいけないことだったみたいなのに、答えてもらえてうれしい。
でも…気まぐれで何年も赤の他人を家に住まわせるのかな?
國家の人にもなると、気まぐれで人を家に住まわせるのも たいしたことじゃないのかも。
うーん、と考えていると、車が止まった。
「乗せてくださってありがとうございました。行ってきます」
「あぁ」



