Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「ねぇきみ、カジノに入りたいの?」


「え…?」




 うしろから聞こえた男性の声に思わず振り返ってしまったのは、カジノの前に私以外誰もいないから。

 髪を派手な赤色に染めた男性は、長袖の黒シャツにシルバーのチェーンネックレスをして、いかにもチャラそうな()で立ちをしていた。




「それ北高の制服だよね。何年?」


「えぇと…2年、ですけど」




 この人、なんの用だろう…?

 質問の意図(いと)がくみ取れないまま答えると、チャラそうな男性は笑顔で私に近づいてくる。




「あぁ~、遊びたい年ごろだよねぇ。でも、やめときな?制服じゃ倍の入場料払っても通してくれないよ」


「んん…?いえ、私は…」


刺激(しげき)を求めてるなら、俺がいいものあげるからさ。こっちおいでよ」