《そう、それでね、今日の朝はポタージュを食べたんだ。朝から好きなものを食べるとやっぱり幸福度がちがうよ》
横向きに置いたスマホの右下で、ショートボブの金髪の下から、ひとつに結んだうしろ髪を伸ばしている男の子が、赤い瞳を閉じてにっこりと笑う。
美麗なイラストでパターン化された表情のはずなのに、博ツキくんは感情表現が豊かだからか、作り物っぽさはまるで感じない。
私は脱いだパジャマの代わりに、黒のセーラー服を頭からかぶり、つくえの上に置いたスマホへ視線をもどした。
《あ、ストレートフラッシュできた。幸福度だけじゃなくて運も上がるみたいだね》
ほのぼのとしたゆるい雑談をしながら遊んでいたポーカーで、あっさりと最強かつレアな役をそろえた博ツキくんに、いやいや、と心のなかでツッコむ。
朝から好きなものを食べたからって、ストレートフラッシュを作れるのは博ツキくんくらいだよ。
アカウント作成を禁止されているからコメントはできないけど、チャット欄を開いて最新のコメントを見れば、おなじようにツッコんでいる人がいた。



