「私、早く大人になりたいです…っ」
「…どうした?」
「帝さん、大人だから…なんだか、遠い存在に感じて。もっともっと、帝さんに近づきたいです…」
「…」
ぎゅうう、と抱きついていると、「結花」と呼ばれる。
顔を上げて帝さんを見た瞬間、唇を重ねられて、ばくっと心臓がはねた。
「俺に一番近い存在は、結花だ。“遠い”なんて感じるひまがないほどに…これからもっと、それを教えてやる」
「帝、さん…」
「愛してる、結花。その思考に触れて、感情を感じて、結花のすべてを知りつくしたい」
帝さんは私のほおに触れながら、唇を寄せて、そうささやく。
私をからめとるような視線に、どくどくと心臓が音を立てた。



