「それは俺のワインだ。…飲みたいなら、止めないが」
「んぇっ。い、いえ、まちがえただけです!」
「そうか」
帝さんは、ふ、と笑って私の手からグラスを抜き取り、ぶどうジュースにそっくりな“ワイン”を飲んだ。
伏し目気味にこくりとのど仏を上下させる帝さんには、大人の雰囲気がただよっていて、どきどきすると同時に、なんだか もどかしい気持ちになる。
帝さんは大人だけど、私はまだお酒も飲めない子どもなんだよね…うぅ。
決して帝さんが相手にしてくれないわけじゃないけど、早く大人になりたいかも。
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ふだんよりゆるゆるで、たぶん、笑い上戸というものにあてはまる廉さんとパーティーを楽しんだあと。
夜もふけて、帝さんと部屋の前にもどってきた私は、別れのあいさつをしようと帝さんを見上げた。



