Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

「…放っておけ。酒が入っているときに笑い始めると、廉は止まらない」


「は、はあ…あ、帝さん、このチーズおいしいですよ。一口いかがですか?」




 帝さんに教えられて、ツボがなぞだなぁと思いながら廉さんをそっとしておき、おいしかったおかずを帝さんに(すす)める。

 すると、帝さんは私を見つめて口を開けた。

 こ、これは…もしや、“あーん”待ち!?


 私はどきどきしながらチーズを一口とって、帝さんの口元まで運ぶ。

 私の手からチーズを食べた帝さんは、目を細めて「うまいな」とこぼした。

 あの日から、なんだかようすが変わった帝さんは、今までより感情表現がゆたかで、まとう雰囲気(ふんいき)もやわらかくなっている。


 こんなふうに、帝さんに近づくことを許されると、どきどきして落ちつかなくなってしまうから、私はぶどうジュースに手を伸ばした。

 でも、グラスをつかんだ私の手に、帝さんの手が触れる。