「…もう、結花は。うん、たしかに黒街での生活もわるくはなかったよ。思い出もいっぱいある。…しょうがないなぁ」
苦笑いして許してくれたお兄ちゃんを見て、やった!とよろこぶ。
私は黒街での生活しか知らないから、お兄ちゃんの心配も的を得ているのかもしれない。
でも、帝さんがいて、茜がいて、廉さんがいて、晴琉くんもいる生活をいやだなんて思ったこと、私は1回もないんだ。
帝さんの顔を見て笑うと、帝さんもほほえみ返してくれた。
すっかり夕焼けに染まった空が、道路に点々とある水たまりに映りこんでいるのを見て、私は、あ!と思い出す。
「そうだ、帝さん!あの約束、覚えてますか!?」
「…どの約束だ?」
「ほら、今度雨が降ったら、一緒に水たまりであそぼうって!」
「あぁ」



