Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「…どうして泣く」


「だって、だってぇ~…っ」




 しかたなさそうに笑って、帝さんはとうとうこぼれてしまった私の涙を、唇でぬぐう。

 ほおに落とされるキスにどきどきしていると、うしろから「…結花は」と、お兄ちゃんの落ちついた声が聞こえた。




「僕が思っていたよりも、たくましい女の子に育ったんだね」


「お兄ちゃん…」




 帝さんの背中に回した腕をゆるめて振り向くと、お兄ちゃんは真剣な顔で帝さんを見つめる。




「結花が好きになった人だから、帝さまのことを信じます。でも…これまで結花にした仕打ちは謝罪してください」


「へ、お、お兄ちゃん??」


「無法の黒街(くろまち)だからって、成長期の子どもを夜中まで はたらかせて…!」


「…すまなかった」