Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 ルーレットテーブルで使うカラーチップは基本、7種類あるカジノチップの最低額とおなじ1枚100円のものだから、3000円分で30枚…と。

 10枚ずつ積んだチップをお客さまのお手元まで移動させて「どうぞ」とほほえんだ。


 チップの購入(こうにゅう)処理も終わったので、ふたたびルーレットのホイールヘッドをつかんで、反時計回りに回転させる。




Place(プレイス) your(ユア) bet(ベット). どうぞ、お好きな場所にチップを置いてください」




 方々(ほうぼう)からテーブルの上に手が伸びてチップを置いていくようすを横目に、「Spinning(スピニング) up(アップ)」と宣言(せんげん)し、時計回りで球を投げ入れた。

 それぞれ逆向きに回転するホイールと、たまにはねる球をながめて、今度こそ赤が出ますように、といのる。

 テーブルに伸びる手が増えて、ホイールの回転がゆるやかになってきたころ、「No(ノー) more(モア) bet(ベット)」と口にした。