Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 あぁ、この感じ、お兄ちゃんだなぁ、なんて思いながら、耳になじみすぎる声に苦笑いがこぼれる。

 4年間お兄ちゃんの声を聞く機会がなかったとはいえ、こんなぐうぜんあるんだ…。

 その声で名前を呼ばれると、どぎまぎしちゃうな。




「本当に、来てくれてよかった。ここ数年、手紙を送っても返事がなかったから」


「えっ?」




 お兄ちゃん、手紙送ってたの?

 びっくりして手紙のことについて聞き返そうとしたとき、うしろから車がせまってくる音が聞こえた。

 お兄ちゃんも気づいたみたいで、顔を上げて私を離そうとした…その腕が、ぴたりと止まる。


 目を見開いておどろいた顔をしているお兄ちゃんのようすが気になったタイミングで、車のドアが開くような音がして。




「結花」




 帝さんの、声がした。