「身分証は」
「あ、はいっ」
リュックのなかから生徒手帳を取り出して、顔写真つきのそれを見せた。
「…いいだろう」
生徒手帳と許可証を見くらべたあと、こわもての男の人はうなずいて、小屋に向かって手を上げる。
すると、ギギ、と音を立てて目の前の門がゆっくり開き始めた。
「ほらよ」
「あ、どうも。ありがとうございます」
男の人から生徒手帳を返してもらって、リュックにしまいなおしながら、私は人が通れるくらいに開いた門の向こう側を見る。
まっすぐに伸びた道路、ぽつぽつとある水たまり。
周囲に建物がないことを除けば、黒街とそう変わらない景色が“外”にも続いていた。
リュックを背負いなおして、どきどきしながら門のあいだを通り抜けると、肌ざむい風が吹く。



