《はい。どのようなご用命でしょうか》
「結花はいるか」
《はい。10分ほど前に、忘れ物をしたとおっしゃり、ご帰宅されております》
「結花に動きがあれば知らせろ」
《かしこまりました》
電話を切ってしばらく。
今回もけっきょく退屈しのぎにならなかった仕事を済ませて車に乗り込んだとき、家から折り返しの電話がかかってきて、すぐに応答した。
「なんだ」
《つい先ほど、お嬢さまが外出されました。私服に着替えられて、リュックを背負っておられます》
「そうか」
もとから急な体調不良という自己申告は信じていないが。
仕事を休んでどこへ行く気なのか。
報告を受けて電話を切ったあと、今度は廉に連絡をとる。



