Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 か細く答えた私の顔から手を離して、帝さんはとなりを通過する。

 案の(じょう)あつあつになっている顔を両手で押さえて、「行ってらっしゃいませ…」と口にしたあと、私は帝さんに聞きたかったことを思い出した。




「あ、あのぉ、帝さん…すこしお聞きしたいことがあるんですが」


「…なんだ?」




 うしろを向いて呼び止めると、帝さんは足を止めて振り向いてくれる。

 私は帝さんのそばにいる使用人さんをちらりと見て、「そのぉ」とおずおず言った。




「予言のことで…」


「…」




 帝さんは私を見つめたまま「下がれ」と使用人さんに命令する。

 使用人さんは頭を下げて、階段のほうへ足早に去っていった。