黒街に住んでただけで…?

 私、ふつうに暮らしてる平々凡々(へいへいぼんぼん)な一般人なんだけどなぁ…。

 うーん、と想像ができずに首をかしげていると、私たちのやりとりを見ていた晴琉くんが くすっと笑う。




「結花さんはSNSとかもやってないから、外のことあんまり知らないんだっけ。黒街の印象はかなりわるいから、外では隠しておいたほうがいいよ」


「わ、わかりました…」




 晴琉くんにまでそう言われたら、気をつけないと。

 外では黒街のことを話しちゃだめ、うん、覚えた。

 2人の忠告(ちゅうこく)を心に きざんでから、そうだ、と茜に顔を向ける。


 ひとつ、ちゃんと言っておかないとね。




「茜。私、博ツキくんのライブに行ってくるけど――」