自分の心にしたがって、やりたいように…。
私が今したいことって、なんだろう?
帝さんに、あの許可証のことを聞く?
黒街から出て、お父さんたちのところに移り住む?
「…博ツキくんのライブに、行きたい」
「ライブ?」
一番しっくりくる欲望をぼそっとつぶやくと、晴琉くんがふしぎそうな声でくり返した。
私は顔を上げて、晴琉くんに笑ってみせる。
「推しのVライバーが、明々後日ライブをするんです。私、先月それを知って、チケットを買ってから、ずっとライブに行きたくて…」
「…そっか。それで、勝負をしたんだね」
「はい。だから、明々後日のライブに行ってきます」
「…ん。帝さまにはバレないように準備しなよ。引きとめられるかもしれないし、もしかしたら外に出れないようにされるかもしれないし」



