Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 茜はそっけなくそう言って、私から離れる。




「待って、茜。…怒ってる?」


「はぁ?怒るわけないでしょ」




 顔を上げて呼び止めると、茜は私に背中を向けたまま答えた。

 でも、やっぱり声色がいつもより冷たい気がする。




「ごめん…」


「だから、怒ってないって。…黒街から出られる人間を引きとめちゃいけないし」


「え…」


「親友だからこそ、あたしは結花が外でしあわせになること、願ってあげなきゃでしょ」




 目を見開いて、私は茜の背中を見つめた。

 階段に向かって歩き出す茜に、あわてて声をかける。




「待って、茜。私、やっぱり茜にも相談したい。晴琉(はる)くんに話すときも、一緒にいてくれないかな…?」


「…わかった」