言わずとも人に聞かれたくない話だと察してくれた茜に力なく笑って、一緒に教室を出る。
帝さんと一緒に文化祭を回ったからか、なんだかいちだんと周りに距離を置かれるようになった私は、人が避けていく廊下を重い足どりで進んだ。
茜と一緒に来た昇降口は、人がいなくてしずかなあまり、教室よりも雨音が大きくひびいている。
「それで、どうしたん?」
「…あのね。昨日の夜、っていうか、今日の夜中なんだけど。私、帝さんの部屋で見つけちゃったの」
「…帝さまの部屋に結花が入れることはいったん置いといて、なにを?」
茜は腰に手を当てながら、いつもより心なしか落ちついたトーンで聞き返した。
私は目を閉じて、ゆっくり口を開く。
「お父さんが、借金をぜんぶ返したって書いてある書類」
「え…」



