Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 抵抗(ていこう)なく、しずかに開いた扉の向こうを ちらっとのぞき見る。

 私の部屋の明かりがもれて、一部室内が照らされているけど、帝さんの姿は見えなかった。

 ベッドは、どうだろう…?




「失礼します…」




 小声でことわりを入れて、体が通るくらいに扉を開け、足音で起こしたりしないように、しずかに帝さんの部屋に入る。

 どきどきしながら、もれ出た明かりをたよりに、扉の反対側にあるベッドへ近づくと、帝さんの姿はなかった。




「…まだ、帰ってないんだ」




 どこかさみしい気持ちで肩を落としたあと、サイドテーブルに口が開いた封筒(ふうとう)と書類が置かれていることに気づく。

 折りたたまれた跡があるその書類にちょっとだけ視線を向けて、[青波(あおなみ)結花(ゆいか)]という文字を見つけた私は、思わずその書類の内容を読んでしまった。




「――…え?」


[11月2日の借入金(かりいれきん)完済(かんさい)を以て、青波結花が黒街から出ることを許可する]