Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

「いい。文化祭でいくら使っても、たいした金じゃない」


「で、でも~…」




 へにょんと顔をゆがめて階段のほうを見ると、帝さんは私の手をつかみ、階段とは反対方向に歩き出す。

 どきっとして帝さんに視線を移せば、無表情のまま気だるげに言われた。




「他に行きたいところはないのか」


「んぇ…えと、じゃあせっかく4階にいるので、晴琉(はる)くんの顔を見に行ったり…とか…?」




 どうやらさいふは取りに行かせてもらえないらしい。

 心苦しく思いながらも、帝さんにも興味を持ってもらえそうな提案(ていあん)をすると、帝さんが横目に私を見る。




「どこにいる?」


「えぇと、たしか1組なので、向こうはじの教室です」




 私はあいかわらず人々がフリーズしていて しずかな廊下(ろうか)の奥を指さし、帝さんを案内するべく、となりにならんだ。