Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「帝さまの前で平然としてられんのは結花(ゆいか)だけだって。手袋のあまりはあるし、結花が用意しな」


「んぇ、私が?」




 茜と小声で話すと、在庫管理担当のクラスメイトがみんな、こくこくと首を縦に振った。




「帝さまご一行(いっこう)の担当は結花ってことで。他の仕事しなくていいから」


「え」




 他の仕事しなくていいって、それはどうなの。

 茜と、他のクラスメイトたちの硬い顔を見てから、私はまぁいいか、とうなずいて、ビニールの手袋をもらう。

 基本は用意してあるものをお皿やカップに移すだけだけど、ホットケーキは生クリームを乗せる作業が加わるんだ。


 みんなに距離をとられるなか、クーラーボックスに入れてあるホイップクリームを取り出して、お皿に移したホットケーキの上に、ちゅうう、としぼり出す。

 担当してたわけじゃないから、完成品を目にしたときの記憶をたよりにした目分量だけど、我ながらうまくしぼり出せた。

 もうひとつも おなじようにホイップクリームをしぼり出して、あと片付けをしてから、まずはコーヒー2杯を持っていく。