Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「す、すみませんでしたっ!!」


「…あ、お、お客さま、お金置きすぎ――」




 お腹の底から声を出して、教室のうしろの扉から出ていくお客さまの背中に、あわてて声をかけるも、一歩届かず。

 注文された商品とはかけ離れた(がく)のお代をどうしたものかと思いつつ、私は視線をスライドさせて、正規(せいき)の入り口となっている、教室の前の扉を見た。

 そこには、黒とグレーで統一された細いシルエットの私服を着た帝さんと、だぼっとしたゆるいシルエットの私服を着た(れん)さんが立っている。




「み、帝さん、廉さん…?」




 どうしてあの2人がうちの学校に。え、私もしかして夢を見てる??




「はろ~、ゆいちゃん。メイド姿もかわいいなぁ」




 廉さんがあまりにもいつもどおりに、片手を上げてへらりとあいさつしてきたものだから、私は はっと我に返って、早足で入り口に近づいた。