Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 かっこいいけど、茜に任せておくとヒートアップしそうだから、あわてて話をさえぎる。

 愛想笑いを浮かべて、すすす、とお客さまのもとへ行くと、お客さまは舌打ちをしてコップをつかんだ。

 周りが、しん、とするなか、お客さまはそのコップの口を、まさかの私に向けて持ち上げ――




「――止まれ」




 ()だるげなのに、どこか強制力があるその声を聞いて、私もお客さまも、たぶん周りにいた人たちも、全員がぴたっと動きを止める。

 この声…(みかど)さん!?




「俺の前でうちの人間に手を出すか、金を置いて帰るか、えらべ」


「く、(くに)家の…」




 お客さまは目だけを動かして、ひきつった顔で汗を浮かべると、ぎこちなくコップをつくえにもどした。

 それから、ポケットのなかに手を入れてさいふを取り出し、中身をぜんぶ抜き取ったんじゃないかってくらい、お札をたくさん置いて席を立つ。