Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 占い師さんは笑って階段を引き返し、2階の廊下を進んでいく。

 でも、階段のすぐ近くにある生徒指導室を通りすぎて、もっと奥へ行こうとしているから、あわてて声をかけた。




「占い師さん、生徒指導室、ここです!」


「あら?こんなに近かったかしら。ありがとう、ごめんなさいね」


「いえ…」




 なんだか、うん…。

 この占い師さん、ちょっと抜けてるところがあるなぁ…。

 急に神秘的な雰囲気が飛んでいって、大丈夫かなぁ、と苦笑いしながら、私は生徒指導室に入る占い師さんのあとに続く。


 生徒指導室のなかは、カーテンが閉め切られて、中央のつくえには(むらさき)色の布がかけられていたりと、すっかり雰囲気のある空間になっていた。

 占い師さんは目の前に水晶玉が置かれている奥側のイスに座って、私ににこりとほほえみかける。




「どうぞ、座って」