Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



「げほっ…」




 頭がぐらぐらして、意識が遠のいて、もうなにも考えられない。

 すこしして、目の前に現れた帝さんは、手に持ったなにかを私の口に押しつけてきた。

 でも、口のなかに入った液体は、すぐ口の外に流れていく。


 もうまぶたを持ち上げる力もなくて目を閉じると、今度はぐいっと顔を上げられて、唇にやわらかいものが触れた。

 口のなかにさっきとおなじ液体が入ってくる。

 のどに流れていくそれを、体が勝手に飲みこんだ。




「――――――――」




 帝さんがなにか言ってる。なんて言ってる…?


 “解毒剤(げどくざい)を飲ませた”

 “起きたら楽になっている”


 あぁ、そっか…。




「あり、がと…ござ、ます…ぇへ…しぬ、かと…おも…まし、た…」



 私はすこし目を開けて、ぼんやりとしている帝さんの顔を見ながら笑い、引きずられるまま、意識を底に(しず)めた。