Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 白リボンの黒いセーラー服。前に流すと胸の上あたりまであるくせっ毛の黒髪は、今日もぞんぶんにうねっている。

 これでもていねいにブラッシングしてるんだけど、あちこち はねちゃうからぼさぼさに見えるのが長年のなやみだ。

 しょうがないから、仕事中は髪を結ぶことにしている。


 私の顔の特徴(とくちょう)である、ほおにあるほくろと、ピンクの丸っこい目から視線を外して、街の中央エリアにある職場を目指した。

 本日2度目のサイレンが遠くから聞こえてきて、これはパトカーだなぁ、とこの街では ほとんど影響力がないおまわりさんを思い浮かべる。



 ここは黒街(くろまち)

 無法都市と異名(いみょう)がついていることを考えると、“外”にくらべてどれだけ治安がわるいのか わかる。…と、思う。

 私は物心ついたときから黒街に住んでいるから、ちょっとぶっそうな街、くらいのイメージなのだけど。