その瞬間、目撃した。
ピピッピピッと警報が鳴り続けるなか、音もなくその扉が動いて、充分な通り道ができたそこから、黒い影が帝さんの部屋に入ってきたところを。
「帝さんっ、あぶない!」
私は、その影が きらっとにぶく光る物を持っていることに気づいて、体が動くまま、帝さんにかけ寄った。
「結花、そこで――」
すこし振り向いた帝さんに、ばっと抱きついた、1秒後。
左肩のすこし下に痛みが走って、同時にその場所が燃えるように熱くなった。
“痛っ”と思わずこぼしそうになったとき、急に頭がぐらぐらして、体のなか、内臓がかき回されていくように気持ちわるくなる。
のどに いきおいよくこみ上げてきたものが、口のなかを鉄のような味で満たして、ごぽっと唇の外へ飛び出した。
帝さんが腕のなかから抜け出したこともあって、力が抜けるまま、床にどさっと座り込む。



