Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 床にたおれている黒づくめの人たちを放置したまま、一緒に帝さんの部屋にもどると、ピピッピピッと警報(けいほう)が聞こえる。

 まだ鳴ってたんだ、と眉を下げながら思ったとき、前にいる帝さんが宙を()った。




「ここで待ってろ」




 帝さんは目を丸くする私にそうささやいて、部屋のなかに進み、暗い部屋に黒い服でまぎれた“だれか”と格闘(かくとう)する。

 それは複数人いるみたいで、なにかを()けるように体を動かしながら、帝さんはキレのある蹴りやパンチを宙に向かって放っていた。

 短く聞こえるうめき声や、どさっという重い音が、たしかに帝さん以外の人の気配(けはい)を感じさせる。


 すこしすると、人がたおれる音がしたあとに、帝さんが すっと姿勢(しせい)をなおして立ち止まった。

 全員撃退(げきたい)した…のかな?

 そう思って暗闇に近い部屋のなかを見回すと、帝さんがようすを見ようとしてくれていたのか、私の部屋に続く扉がすこし開いていることに気づく。