Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 ベッドを抜け出して音が鳴りそうなものを見て回ったけど、部屋のすみに行くほど、むしろ音が遠くなっている気がして天井を見上げた。

 でも、天井にあるものなんて照明くらい。




「…使用人さんを呼んでこよう」




 夜中でも数人の使用人さんが家にいるし、頭にけっこうひびくこの音が鳴りやまないと、寝にもどれる気がしない。

 私はあくびをもらしながら、部屋を出て使用人さんが待機している部屋に向かおうとした。

 だけど、廊下(ろうか)に出てすぐ、薄闇のなかに だれかがいるのが見えて。




「あ、使用人さ…あれ?」




 使用人さんだと思って声をかけてから、なんだか使用人さんとは格好(かっこう)がちがうことに気づく。

 体にぴっちりとフィットした黒づくめの服に、黒い布で顔の下半分をおおっていたりなんかして。

 3人いるみたいだけど、見えている目元にもまるで見覚えがない。