11月の2日と3日にある文化祭まで残り9日。

 昼休みを返上し、うちのクラスのメイド&執事(しつじ)喫茶(きっさ)で使う衣装(いしょう)をぬいながら、私は(あかね)に話しかける。




「ねぇ、どうして私は(みかど)さんを落とすことを期待されてるのかな」


「んー?そりゃ、あの帝さまが女子を愛するところが見てみたいからじゃないの?」


「えぇ…?でも、帝さん本人が、私が勝つことを望んでるんだよ?」


「なにそれ。それじゃもう勝ってるようなもんじゃん」




 となりでおなじく ぬいものをしながら、茜は片方の眉をくいっと上げた。

 もう勝ってる…そうだよね、ゲームの相手が負けることを期待してたら、相手が勝ちを放棄(ほうき)しているようなもので。

 そもそも、帝さんからなにかアプローチされた覚えってないし。




「うーん…予言、かぁ」


「予言?」


「あ、や、なんでもない!」