帝さん、急になにを。
びっくりして顔を上げると、玄関ホールにもどるところだった歌姫さんも、あせった顔で引き返してくる。
「おまえが結花に言ったこと。それがすべてだ」
「っ…あ、あれは、つい言ってしまっただけなんです!支配人がその子を特別あつかい しているように見えて、嫉妬してしまって…」
「…ここに残しておけば、おまえは またくり返すだろう」
「もう、もう二度と支配人と寝たなんて うそはつきません!ですからお願いします、ここで歌わせてください!」
振り向いて冷たい目を向ける帝さんに、歌姫さんは必死なようすで頭を下げた。
“支配人と寝たなんて うそ”…?と、歌姫さんの言葉に ぱちりとまばたきをすると、帝さんは目を細めて歌姫さんを見てから、私に視線をもどす。



