Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 いつもどおり気だるげな、抑揚(よくよう)の少ない声が聞こえて、はっといつのまにか うつむいていた顔を上げた。

 おどろいた顔で振り返る歌姫さんのさらにうしろには、玄関(げんかん)ホールのほうから歩いてくる(みかど)さんがいる。




「し、支配人…!」


「帝、さん…」


「仕事を放り出してなにをしているかと思えば。結花(ゆいか)との話は、フロアで歌うことよりも、うちに利益(りえき)をもたらすのか?」


「っ…も、もうしわけありません。この子が支配人と一緒に暮らしていると聞いたもので、すこし妬いてしまったんです」




 歌姫さんはすぐに反省した顔になったけど、最後に はかなく笑った。

 思わずなんでも許してしまいそうになるその顔を見ても、帝さんは無表情のまま。

 それでも、帝さんは歌姫さんと、特別な関係なんだよね…?