ぶすっと、あきらかに ふきげんな顔で私にそう言ったのは、ついさっきまでカジノフロアにいたはずの歌姫さんだった。
右サイドの高いところでお団子を作り、ゆるく巻いたダークブラウンの髪を下ろしている歌姫さんは、赤い瞳で私をにらんでいる。
「は、はあ…あのぉ、それがなにか…?」
「さっきも助けてもらったからって…自分だけ特別だなんて思わないことね。私は支配人と寝たこともあるんだから」
「え…」
寝た。寝た、とは。
え、帝さん、私以外の人と一緒に寝たことがあるの…?とすこしショックを受けたのは、まだ序の口だった。
「ベッドで支配人がどれだけ情熱的になるか知ってる?あなたみたいなお子さまじゃ想像もつかないかしら」



