Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 ルーレットに視線を落とすと、すでにホイールの内側に転がりこんだ球が、何度かマスのなかに入るそぶりを見せている。

 今回はどこに落ちるのかな、とのんびりながめていると、白い球は黒くぬりつぶされたマスにからんとおさまった。




「っ、また外れだ!おいおまえ、イカサマしてるだろ!俺が賭けた場所からわざと外してるんだ!じゃなきゃこんなに負け続けるはずがない!」


「んぇ…お客さま、お気持ちはお察しいたします。ですが、当カジノがゲームに手を加えることは一切ございません」




 テーブルについたお客さまの1人が急に立ち上がって、私を怒鳴(どな)りつけてきたことに びっくりする。

 (くに)家の人が支配人をしている、という事実がお客さまの素行にすくなからず影響をあたえているはずだけど、たまにこういう人もいるのが黒街(くろまち)だ。




「うるさい!金をすったのはおまえのせいだ!」