「Spinning up」
いつもどおり宣言してから、反時計回りに回転するホイールに球を投げ入れる。
逆回転する球はホイールの外側を走って、たまに突起にぶつかり、不規則にはねた。
なんだか、ぐっと帝さんに近づけた気がするあの日から2日。
体が丈夫なのか、体調不良を数日隠していたのか、帝さんは今日から仕事に復帰している。
「No more bet. チップを置くのをやめてください。これ以降、チップにお手を触れないようお願いいたします」
日々ルーレットの挙動を見てきた経験からの勘で、そろそろ球が落ちそうだと思った私は、賭けを終了させて、お客さまを監視した。
テーブルをかこむお客さまの向こう側に、カジノフロアを巡回する帝さんが見えると、自然とほおがゆるむ。
見回りのために、方々に視線を向けている帝さんがこちらを見たのに気づいて、にこっと笑った。



