カジノフロアを出てセキュリティールームまで来た私は、扉をノックしてから「失礼します、青波です」と部屋のなかに入る。
何台ものモニターがならび、店内のようすがいくつも映し出されたセキュリティールームの光景は、いつ見てもあっかんだ。
「よぉ、ゆいちゃん。ごきげんいかが?」
「廉さん、おつかれさまです。えぇと…どうして私は呼ばれたんでしょうか…?」
モニターの前のイスに座って、背もたれに体をあずけながら電子たばこを吸っていた廉さんが、白いけむりを吐き出してへらりと笑う。
イスを回転させ、体ごとこちらに向いた廉さんは、「まぁまぁ」と言いながら、電子たばこをポケットにしまってゆっくりと立ち上がった。
グレーに染めた髪のあいだから、たれ目気味な紫色の瞳がのぞく。



