「結花ちゃん、次の授業は、僕と2人っきりでここにいない?」


「へ…っ」



 私のほうが年下でも、Gold(ゴールド) Night(ナイト)では先輩だから、と“さん”呼びをくずさなかった晴琉くんに、まさかのちゃん呼びをされてどきっとする。

 かぁぁっとほおに熱が集まるのを感じていると、くすっと妖艶に笑った晴琉くんが、「なんて」と手を離した。




「どきどきした経験が他にもあれば、支配人のことを意識しすぎなくていいかなって思ったんだけど」


「んぇ…っ!?」




 ぱっと、いつもの人当たりがいい笑顔にもどった晴琉くんからは、先ほどの色気は感じない。

 どこを切り取ってもいつもの晴琉くんで、安心感を覚えつつも、新しい一面を見てしまったどぎまぎが残る。




「は、晴琉くん…すごい、ですね。まるで、別人でした…」