Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 聞こえるはずがない帝さんの声がして、びくっと はねながら顔を上げると、玄関(げんかん)の階段前に帝さんが立っていた。

 あわてて目視で距離を(はか)って、半径1.5m圏外(けんがい)にいそうなことを確認し、ほっと肩を落とす。

 それから、おそるおそる帝さんの顔を見て、目を合わせた。


 帝さんとキスをして、初めて帝さんがほほえむ顔を見た平々凡々(へいへいぼんぼん)な一般女子が、あれから帝さんを前にして、どきどきしないほうが むりというもので。

 チェッカーに感知されないように、ここ数日、帝さんとは半径1.5m以上の距離を(たも)つようにしている。




「ついてこい」


「え…?」




 一言口にして、階段を上がっていく帝さんをぼーっと見つめると、階段の上から振り返って見下ろされ、はっと我に返った。




「は、はい!」