Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―

 恋愛小説とかだと、唇はやわらかいって言うけど、あんがい硬い感触かも。

 そう思いながら、1秒後にそっと離れて目を開けると、帝さんに見つめられたままだった。




「…終わりか?」


「は、はい…失礼、しました…っ」




 うぅ、帝さん、やっぱり無反応…!?

 この作戦もだめだったか、と思いつつ、はずかしいからすぐに退散しようと背中を向けると、腕をつかまれて、ぐいっと引きもどされる。




「へ…?」


「キスは、こうやってするものだ」




 帝さんがそう言って、気だるげな美貌(びぼう)が目と鼻の先にせまったかと思えば、ちゅ、と口にやわらかいものが触れた。

 てん、てん、てん、と思考がフリーズして、数秒後に離れた帝さんの顔が、やっぱりおそろしいくらい ととのっているなぁ、と別のことを考える。




「…結花(ゆいか)がしたのは鼻。この場所、覚えろ」


「え…?」