裏SNS " F " - 友か、秘密か -

すべてのファイルを閉じて、
紗英は静かに背もたれに体を預ける。



1学期、怒涛のようだった。



表情の裏にどんな思いがあったか、
どこまで気づけていたか。

" F " という存在が、
子どもたちに何をもたらしているのか。
その全貌を、まだ私は掴みきれていない。






( ……あの子たちには、
どうか、まっとうに大人になってほしい )



静かに、そう願う。
自分のように、理想を夢見て、挫折して、
道を曲げてしまうようなことが、ないように。

成績は悪くなかった。
だけど、第一志望の国立大学には届かなかった。

学費を稼ぐためのアルバイトは、
授業や勉強と両立が難しく、
結局彼女はスナックで働くようになった。



遠回りをしてようやく手に入れた、
教師になるという夢。



――自分は、本当に彼らに
何かを与えられているだろうか?



答えは微妙だが、それでも、せめて願う。

F組の生徒たちが、
自分の手の届かない場所へ行ってしまっても――

きちんと、
自分の足で歩いていけますように、と。



夏の風が、開いた窓からふわりと吹き込んだ。

紙の匂いと、
少し湿った草の香りが混ざったその空気を、

紗英はゆっくりと吸い込んだ。