裏SNS " F " - 友か、秘密か -

放課後。

夏休み前の開放感で、教室はまるで
カウントダウンパーティのような
熱気を帯びていた。

窓際では誰かがスマホを操作し、
廊下からは様々な声がこだましている。



ふと、悠のスマホが小さく震えた。
通知音が、教室の空気を少しだけ切り裂く。



【 投稿主 ◇ K.S / TARGET ◇ 大橋 詩帆

大橋詩帆は八雲大志望。
すでに受験が終わったってこと。
勝ち組は夏も余裕で何より(笑)

Point ◇ 810pt 】



【 投稿主 ◇ S / TARGET ◇ 藤井 舞

藤井舞と榊原萌子、ついに決裂?(笑)

Point ◇ 190pt 】



声には出さないが、誰かの視線が交差する。

詩帆はスマホを見たまま無表情で、
それを見た誰かが肩をすくめて笑う。

藤井 舞と榊原 萌子は、
それぞれ違う場所に座っていた。



そんな中で、
白石 遙華がふと近づいてきた。



「 F、停止前のラッシュみたいだね。
……一ノ瀬くんって、投稿したことあるの?」



唐突な問いに、
悠は一瞬だけ視線を泳がせた。



「 ……いや、見てるだけ 」



嘘をつく。
遙華は小さく頷いた。



「 そっか、そうだと思った 」



その言葉の中には、
どこか含みのあるニュアンスがある。



遙華が離れていくと、
悠はふと教室を見渡した。

笑っている顔、スマホを見つめる顔、
どこかに急いでいる顔。
それぞれが別の場所を見ていた。



帰り支度を始めたそのとき、
後ろから声がかかった。



「 悠、ちょっと寄り道しね?」



振り返ると、桐島 翔が立っていた。
制服の袖を少しまくって、
気だるそうな笑みを浮かべている。



「 ……いいよ 」



しばらく一緒に帰ってなかったな、
と内心思いながら、
悠は鞄を持って立ち上がった。