「 私ね、Fを止めたいと思ってるの。
もう誰も傷つかないようにって 」
その言葉に、しずくは一瞬だけ目を細めた。
推薦を得た今、詩帆は
" 正義 " を語る余裕ができたのかもしれない。
でも、それが自己満足であれ本気であれ
──巻き込まれるつもりはなかった。
「 しずくちゃん、一緒に動かない?
少しずつ、仲間を集めようと思って 」
「……私、関係ないから」
それは、できる限り柔らかく放った、
精一杯の拒絶だった。
関われば、また何かを失う。
また、誰かを傷つける。
──あの日のように。
詩帆は、ほんの一瞬だけ言葉を詰まらせて、
小さくうなずいた。
「 ……そっか。
でも、何かあったら、いつでも言ってね。
澪ちゃんも、きっとまだ…… 」
何かを言いかけて、詩帆はその続きを呑み込む。
そして静かに、自分の席へと戻っていった。
また一人の時間が戻ってくる。
けれど、ほんのわずかに、
教室の空気の温度が変わった気がした。
──澪は、あのとき、
なぜ私に声をかけてきたのだろう。
──何を思って、
私から離れていったのだろう。
その答えは、
まだ遠く、手の届かない場所にある気がした。
もう誰も傷つかないようにって 」
その言葉に、しずくは一瞬だけ目を細めた。
推薦を得た今、詩帆は
" 正義 " を語る余裕ができたのかもしれない。
でも、それが自己満足であれ本気であれ
──巻き込まれるつもりはなかった。
「 しずくちゃん、一緒に動かない?
少しずつ、仲間を集めようと思って 」
「……私、関係ないから」
それは、できる限り柔らかく放った、
精一杯の拒絶だった。
関われば、また何かを失う。
また、誰かを傷つける。
──あの日のように。
詩帆は、ほんの一瞬だけ言葉を詰まらせて、
小さくうなずいた。
「 ……そっか。
でも、何かあったら、いつでも言ってね。
澪ちゃんも、きっとまだ…… 」
何かを言いかけて、詩帆はその続きを呑み込む。
そして静かに、自分の席へと戻っていった。
また一人の時間が戻ってくる。
けれど、ほんのわずかに、
教室の空気の温度が変わった気がした。
──澪は、あのとき、
なぜ私に声をかけてきたのだろう。
──何を思って、
私から離れていったのだろう。
その答えは、
まだ遠く、手の届かない場所にある気がした。

