裏SNS " F " - 友か、秘密か -

「 南雲さん 」



それは、
久しぶりに呼ばれた自分の名前だった。

教室のざわめきの中、
その声だけがすっと耳に入ってきた。



「……なに?」



しずくは少し間を置いて返す。



「 最近、澪ちゃんと話してないね 」



その名前が出たとたん、
しずくの胸がかすかに揺れた。
でも、表には出さなかった。

詩帆の声は責めるようでも、
私たちを詮索するようでもない。

ただ「 私は気づいてるよ 」と、
静かに伝えてくる響きだった。



──宮下 澪。



唯一、しずくの " 過去 " を知っていた人。
あの事件の記憶を共有し、そばにいてくれた人。

けれど澪は、
あの投稿をきっかけに、離れていった。



「 ……うん 」

しずくは目を伏せる。
詩帆の横顔が、視界の隅にぼんやりと残った。



──離れていったのは、澪。
そして、突き放したのは、自分。