裏SNS " F " - 友か、秘密か -

そして翌日。
昼休み前の喧騒の中、
響の耳にある会話が飛び込んできた。



「 なーなー、ねぎ。もしさ、急に誰かから
意味深なメッセージ届いたらどうする?」



声の主は、瀬川 琉生。
先にやってきた根岸 幸太に
ふざけた調子で話しかけている。



「 は? 誰からだよ 」

「 んー、例えばだけどさ。
『 あなたの行動には規則性がある 』とか
送られてきたら、ちょっと面白くない?」



ふざけるように言いつつも、

琉生は響の顔は見ず、
ちらりと後ろに視線を流す。

その一瞬に、響は確信を得た。



( ……やはり、「 青 」は瀬川 琉生だ )



演出のセンス、間の取り方。
仮説と現実が、きれいに重なった瞬間だった。



ーーその夜。



響のスマホに、
ひとつの通知が届く。



《 Dear H.H
明日の放課後に旧音楽室で 》



目を疑った。



Hとしか名乗っていないはずなのに、

『 H.H 』 ーー花山 響のイニシャルが、

そこに記されている。



差出人名は『 L 』
ーー瀬川 琉生。確定だ。



思わず唇の端が吊り上がる。
警戒はしていた。
だが、それ以上に、興味が勝った。



ーー翌日。



指定された
旧音楽室に足を踏み入れると、
琉生は既にそこに来ていた。



「 やっぱりねー、花山だったか 」



敵意はなさそうに見える。
だが、その眼には
警戒と選別の光が宿っている。

「 いつ気づいた?」と響が尋ねると、
琉生は肩をすくめた。



「 さあね、いつだろう。
で、情報交換がしたいんでしょ?いいよ。
交換ってことは、何かくれるんだよね?」



響はゆっくり頷いた。



「 お互いに、得られるものがあると思う 」

「 なら聞くけどさ、花山は何を知ってるの?
……どうせ投稿なんてしたことないでしょ?」



「 ああ。だからこそ、表示される機能がある。
投稿履歴ゼロのアカウントだけに
見える仕様だよ 」



「 へえ、手の内見せるの早くね?

俺が新しいアカウント作っちゃえば
それも見れるわけだけどーーまあいいや。

響、手を組もうよ 」



こうして、
花山 響と瀬川 琉生の共犯関係が始まった。